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				2009.09.30
				〈一茶の俳句365〉 何にしろ言いぶんの有り秋の空  一茶
				 
	    きりえタイトル「風船」 どこまでも飛んでいけ。秋風に乗って。
  
				2009.09.29
				〈一茶の俳句365〉 飛ぶ鳥をこえて行くなり秋の雲  一茶
				 
	    きりえタイトル 「カワセミ翔んだ」 瞬間だけれど、るり色が見える。じっとその方向を見つめて待つと、必ず再び見ることができる。ひふみ渕で、また会おう。ずっとこれからも会おう。約束だよ。
  
				2009.09.28
				〈一茶の俳句365〉 愛想にぽかり口明く木通かな  一茶
				 
	    きりえタイトル「あけびの甘さ」 こんなにおいしい甘さは、山ではあけぶいだけ。口いっぱいに含んだ。味わったあと、息いっぱいに黒い種を吹き出そう。上品な味のあと、野生で吹く。
  
				2009.09.27
				〈一茶の俳句365〉 親里は見えなくなりて秋の風  一茶
				 
	    きりえタイトル「忘れないでおこう」 秋の野に出かけなければ、思い出もつづれない。ともかく時間を見つけて里山を歩こう。里山は心の感覚心覚を五感で刺激してくれる。
  
				2009.09.26
				〈一茶の俳句365〉 足元に日のおちかゝる野菊かな  一茶
				 
	    きりえタイトル「野菊」 うす紫の花に顔を近づける。秋の香りを吸い込ませてもらう。白い月がそれを見ていた。
  
				2009.09.25
				〈一茶の俳句365〉 秋花らしき物が白いぞ小草原  一茶
				 
	    きりえタイトル「藤ばかま」 秋の七草のひとつ。一番姿を見かけなくなっていると言われている。秋の山で、つとめて探す。出会った時は、良く咲いていてくれたネ、と声をかける。
  
				2009.09.24
				〈一茶の俳句365〉 秋の風にわかにぞっとしたりけり  一茶
				 
	    きりえタイトル「あ、とんだ」 急に強い風が、手から風船をとばして行った。
  
				2009.09.23
				〈一茶の俳句365〉 なむだ仏なみあみだ仏まんじゅ花  一茶
				 
	    きりえタイトル「彼岸花の頃」 秋のお彼岸を野に咲いて教えてくれる。あさまの車窓からも、咲いて見える土手がある。新幹線のスピードから眺めるので、派手さが消えて、花の列になる。そして、水上勉文学の一節を必ず思い出す。
  
				2009.09.22
				〈一茶の俳句365〉 蜻蛉も人もきょろゝきょろ目かな  一茶
				 
	    きりえタイトル「風船かずら唄」 自分で蒔いて、風船が実ったら、手でパンと鳴らしてみたい。いつも誰かが育てた実なので、遠慮している。夏の音がするのか、秋の音がするのか。
  
				2009.09.21
				〈一茶の俳句365〉 蜻蛉の赤いべゞきたあれ見さい  一茶
				 
	    きりえタイトル「原風景の空」 ひつじ雲を見ると、北の国へ旅に出たくなる。それは「いい日旅立ち」の歌が空から聴こえてくるからだ。心覚に山口百恵の歌声で永久保存されている。
  
				2009.09.20
				〈一茶の俳句365〉 秋の風一茶心に思うよう  一茶
				 
	    きりえタイトル「コスモスに心寄せ」 ひつじ雲が、江戸の空にも広がっていたのだろう。風が一茶にどんな音を運んだのか。コスモスは、一茶に会うことはなかった。
  
				2009.09.19
				〈一茶の俳句365〉 草の花人の上には鐘がなる  一茶
				 
	    きりえタイトル「秋を迎えて」  今年の空に咲く花、舞うトンボ。来年も再来年も、永遠に変ることの無い風景を希う。
  
				2009.09.18
				〈一茶の俳句365〉 蜻蛉も連れてふわりと一葉かな  一茶
				 
	    きりえタイトル「風船スマイル」 ゆれてるゆれてる。見ているこちらの心もゆれる。枯れてドライになったまま、上田柳町のそば処おおにしの入口にも、風船かずらがゆれていた。
  
				2009.09.17
				〈一茶の俳句365〉 夕けぶり鳩吹く人にかゝりけり  一茶
				 
	    きりえタイトル「散歩道で」 両手を合わせて、ハトの鳴き声をまねる。このしぐさは、江戸の時代にもあったようだ。やってみたら、ちゃんと鳴らせた。ハトの声より高音だった。
  
				2009.09.16
				〈一茶の俳句365〉 名月を取ってくれろと泣く子かな 一茶
				 
	    きりえタイトル「月夜」 満月を西の空に見つけると、車を止めて見とれることにしている。私だって、できれば月を手に取ってみたい。
  
				2009.09.15
				〈一茶の俳句365〉 人は年とるべきものぞ鴫の立つ  一茶
				 
	    きりえタイトル「ほっとして」 浅瀬にエサを見つけている。忙しそうなひと番いのコチドリ。水辺はいつもみんなの共生の場であってほしい。足を水に浸して、足の裏に今日の川を記憶させる。
  
				2009.09.14
				〈一茶の俳句365〉 鬼灯や七ツ位の小順礼  一茶
				 
	    きりえタイトル「ほら、赤い」 畑に灯りを点すほおずき。草むらをのぞき込んで、その灯りを探すのは、今の小順礼たちだ。
  
				2009.09.13
				〈一茶の俳句365〉 きりゞすおよぎつきけり介舟  一茶
				 
	    きりえタイトル「慕情」 ヨシの葉をくるくると巻いて草笛にする。静かに吹く。鳴った。次に、葉舟を作る。水に浮かべると、舟はごきげん良く手を振って下さった。
  
				2009.09.12
				〈一茶の俳句365〉 秋風の吹きかためたる子どもかな  一茶
				 
	    きりえタイトル「水に入る」 石ころがゴロゴロしている川に入る。石をめくると沢ガニが逃げ出す。そんな秘密の小川を、いくつ知っていますか。
  
				2009.09.11
				〈一茶の俳句365〉きょうまではまめで鳴たよきりぎりす 一茶
				 
	    きりえタイトル「涼しくなった夜」 虫の声が日毎にはきっり聞こえるようになる。テレビを消して、今夜は秋を聴くことにしよう。
  
				2009.09.10
				〈一茶の俳句365〉 なまけるな蜻蛉赤く成る程に  一茶
				 
	    きりえタイトル「ぶどうに寄せて」  ぶどうも実り、トンボも実る。ぶどう園に行って、熟しきったナイヤガラを箱買いして、幸せを秋中たのしむ。
  
				2009.09.09
				〈一茶の俳句365〉 枯ゞの野辺に恋する螽かな  一茶
				 
	    きりえタイトル「初秋の夕景」 イナゴ採りは、全校で行われた。昭和二十年代、イナゴ採りは子どものお祭りだった。その夜のお風呂は、自慢話の声が響きわたった。
  
				2009.09.08
				〈一茶の俳句365〉 秋風に何して暮らす島の友  一茶
				 
	    きりえタイトル「ざわわ、ざわわ」 テレビで森山良子さんが唄っていた。さとうきび畑の絵を、聴きながら創った。まだ沖縄を訪れたことは無い。ひめゆりの塔の映画を観た学校帰り、一本道のさびしさが今も鮮明。空の青さがこんなにも大事だったとは。涙まで青くしながら、戦争憎しを命に刻みつけた。
  
				2009.09.07
				〈一茶の俳句365〉 そば所と人はいうなり赤蜻蛉  一茶
				 
	    きりえタイトル「そば畑の霧」 霧の立つ畑のそばがおいしい。休耕の田畑にそばが作られるので、地粉がだんだん多くなっている。穀物の中でも、そばは熱湯でこねればそばがき。そのまま食べることができる。これ程風味を生かせる食べ方は他にない。地粉の採れる所では、喫茶店やスナックでもメニューにそばがきを登場させて欲しい。輸入粉と競争させない知恵で、地粉を守らないと。
  
				2009.09.06
				〈一茶の俳句365〉 秋風やひょろゝ山の影法師  一茶 
				 
	    きりえタイトル「コスモス」 スキー場にコスモスが咲く。休耕田にも咲く。むかしは好きになれなかっ田。安っぽいと思った花だった。どこにでも咲いていたからだ。このごろは、その安っぽく咲いていた風景が、懐かしくてたまらない。
  
				2009.09.05
				〈一茶の俳句365〉 秋風が吹くにものらりくらりかな  一茶
				 
	    きりえタイトル「季節の主役」  風景は、風の演出で主役が決まる。風船かずらとつりがねにんじんが、今日はライバル。
  
				2009.09.04
				〈一茶の俳句365〉 いま尽る秋をつくゝほうしかな  一茶
				 
	    きりえタイトル「ツクツクボウシ」 涼し過ぎる夏だったりするとセミも鳴かない。セミは暑さに向かって、意地になって鳴いて欲しい。鳴いて鳴いて日が暮れる。夏の思い出の風景には、音がついている。
  
				2009.09.03
				〈一茶の俳句365〉 恋をせよ恋せよゝ夏のせみ  一茶
				 
	    きりえタイトル 「カナカナひぐらし」 七年もの永い時を土の中で過ごすセミ。外界へ出たんだから、どうぞ恋をし尽くして。
  
				2009.09.02
				〈一茶の俳句365〉 女郎花そよぎ盛りははや過ぎぬ  一茶
				 
	    きりえタイトル「秋の風恋し」 心ゆくまで風と遊ぶが良い。
  
				2009.09.01
				〈一茶の俳句365〉 鬼灯を取ってつぶすやせなかの子  一茶
				 
	    きりえタイトル 「鳴らしてみたい」 子どもの頃に、鳴らそうと思うなら二〜三日、眠る時と食べる時間以外、いつでも口に含んででもいない限り、鳴らせるようにはならない。縄とびを自分のものにしたいのと、同じ努力が必要だ。
  
		  
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